10.
愛光くんに連れられて、あたしは彼の家へ。
タクシーの中、段々無口になる愛光くん。
どうしたんだろう…、一気に不安になる。
目的地に着く。
あれ?
このマンション…。
愛光くんに手を繋がれてマンションの中へ。
鍵を取り出した彼があたしを見る。
「驚かないでね」
そして彼が鍵を開けた部屋は、あたしの記憶が確かなら、この部屋は…。
「おかえり…ってよっすぃ〜?」
梨華ちゃん??
「姉貴と住んでるなんて嘘ついてゴメン」
「梨華ちゃんの…彼?」「好きな人ってよっすぃ〜??」
あたしと梨華ちゃんの声が重なる。
「二人ともごめんなさい…」
うなだれる愛光くん。
「とにかく入って」
梨華ちゃんにうながされ部屋の中に。
「よっすぃ〜、ビールでいい?」
「あ…うん…」
「愛ちゃんは?」
「水でいい」
え?
愛ちゃん?
聞き間違いだよね?
「さて…何から話そっか」
梨華ちゃんが椅子に座る。
「あの…わけわかんないんだけど…」
あたしの発言にふたりがあたしを見る。
「二人は…どういう関係?」
敢えて一番聞くのが怖い質問をした。
「友達」
梨華ちゃんが即答する。
「よっすぃ〜は…この子のこと好きなんだよね?」
「うん…」
「何があっても…好き?」
「うん。生まれて初めての一目惚れだから」
そんな言葉に梨華ちゃんは少し困った顔をした。
「愛ちゃん、言った方がいいよ」
あ…また…。