13.
ホテルに入ってよしざーさんはあーしの身体を一生懸命バスタオルで拭いてくれた。
でも、だんだん体が熱くなってきて、あー風邪ひいたかなって思った。
「まだ寒い?」
よしざーさんが聞いてくる。
「大丈夫」
そう言って笑顔を返すけれど、身体は正直で鼻水やら咳やら出てきちゃう。
「酷くなんないといいけど…」
そう言って心配そうにあーしを覗き込むよしざーさん。
「罰やと思う」
「え?」
「よしざーさんにいっぱい嘘吐いた。だから神様が怒ったんやろ」
「そんな…」
「最初から言えばよかったね。あの日、道端で出会ったときに全て」
「……」
悲しそうによしざーさんがうつむいた。
「そんなこと…言わないで?」
「え?」
「少なくとも…あたしは愛光くんと恋人でいた時間は幸せだった。だから…
その時間も全て否定するようなこと言ってほしくない」
「ごめん…」
「今だって…幸せだよ? こうやって愛光くんといるのが幸せ」
「いつか…戻っちゃうよ?俺」
「うん…でも」
「でも?」
「さっきね、愛光くんを…高橋を捜してるときに思ったの。
男だとか女だとか関係ない。1回好きになっちゃったんだもん。
愛光くんが高橋愛に戻ったからってはい、おわりって絶対無理」
「俺も…いや、あーしも無理」
「ならいいじゃん。ずっと一緒にいよ?」
「うん」
よしざーさんが目を潤ませながら微笑む。
彼女がこんなに涙もろいなんて思わなかった。
そう口に出して言ったら
「好きだからに決まってるでしょ?」
そう言葉が返ってきた。
顔がぽっぽと火照るんはきっと熱だけのせいやないはず。