2.
石川さんちに泊まって、次の朝起きた時、あーしは身体に違和感を感じた。
…なんやこれ!
…ありえん…。
あーしの下半身が元気になっとる。
恐る恐る手を伸ばすと……
あった…。
え?え?
まさかと思って胸に手を…。
ない…。
おまけにパジャマからにょきっと伸びた手足。
あーし、男になったんか?
「石川さーん」
助けを呼んだ声はこの前喉を傷めた時のそれで。
半泣きの変わり果てたあーしを見た石川さんは。
「いいんじゃない?」
「え?」
「そのうち戻るでしょう」
なんて楽観的な…。
石川さんがネガティブなんて絶対嘘や。
「にしても…男前だねえ」
あらためて鏡をみる。
…高橋愛のまんまや。
高橋愛にひげがあるだけやん。
「…好きやない…」
「えー、かっこいいのに」
石川さんはその後、あーしの為に男物の服を一式用意してくれた。
「元に戻るまでここにいていいよ」
「え?」
「まさか家には帰れないでしょう?」
「たしかに…お世話になります…」
凹みっぱなしのあーしに、石川さんは外に出たらと促してくれた。
今なら人目を気にすることもないよと。
それもそうだと外に出た。
ショーウインドウに映る自分の全身を見る。
どこの高校生や…。
とりあえず男物の服を買わないと…。
ぶらぶら歩いていると、前からよしざーさんが。
!
転んだ!
…なかなか起き上がらないし。
「大丈夫?」
声かけてもうた。
よしざーさんはあーしに気付くはずもなく、感謝された上に、メアドまで教えてくれた。
…高橋愛の携帯じゃメールできんやん。
あーしは2つメアドと番号をを持てるサービスを思い出し、早速加入。
よしざーさんにメールをした。