5.
よしざーさんが落ち込んでる。
何かと思えば『愛ちゃんみたいにかわいくないよね』って。
何を言い出すんだこの人は。
「よしざーさんの方がかわいいよ」
「嘘…」
「嘘やない。あんなサルよりよしざーさんの方がかわいい…って俺もサルだけど」
「本当?」
「うん。抱きしめたいくらいだよ」
「いいよ?」
「へ?」
「抱きしめてくれて…いいよ」
まじっすか。
どうしよう。
とりあえずよしざーさんの隣に移動してみる。
えーい!思いきって手を握る。
よしざーさんがあーしを見る。
至近距離で視線が絡んだ。
いいんかな…キスして。
じーっと見つめた。
よしざーさんのきれいな瞳を。
よしざーさんが目を閉じた。
これっていいってことだよね?
逆にしなかったら恥かかせるんだよね?
自問自答して。
あーしは腹を決めて唇を重ねた。
最初は触れるだけのキス。
一旦唇を離した後、再び唇を重ねる。
よしざーさんがあーしの頭を抱く。
あーしもよしざーさんの背中に手を回す。
舌を絡めてキスを交わす。
長く。
深く。
…。
なんや?
変な感覚。
あーし、よしざーさん抱きたいかもしれん。
元々、高橋愛やった時も大好きやった。
それはもちろん恋愛感情やなかったかもしれんけど、今は間違いなく恋愛感情や。
「よしざーさん…」
「名前で呼んで?」
「う、うん…ひとみ」
「うん」
「俺…ひとみを抱きたい」