01 きっかけが必要です

あたしには古傷がある。
フットサルをしているとたまに左ひざが悲鳴を上げる。
そのおかげで自分でのケアの方法をずいぶんと覚えた。
季節の変わり目になるとぎしぎしと音を立てるかのような膝に
オイルマッサージを施すと身も心も軽くなるから、
今、はそれにはまっている。

娘。のリハを見学しに行った。
そこであたしが気づいたこと。
高橋が右足を気にしながら踊っていたんだ。
おそらく本人は無意識だろうと思う。
痛みもあるわけじゃないと思う。
あたしが古傷を持っているからこそわかる、
季節の変わり目に来る例えようのない違和感を関節に感じているんだろう。


「高橋」


リハが終了した。


「今日うちおいで」
「よしざーさんちですか?」
「うん。ちょっと気になることがあるから。
ここじゃなんだし」


つれて帰ったらやけに緊張してるし。

「何緊張してんの」
「…あーし、なんかミスしましたっけ」
「え?」
「今日のリハ、あーし、ダメでした?」

思わず吹き出した。

「あー、違う違う」
「違うんですか?」
「説教するためにつれてきたんじゃないよ?」
「あら」
「足、気にしてたから」
「え?」
「やっぱ無意識か。高橋さ、右足、気にしながら踊ってたよ?」
「別に痛くもなんともないんですけど…」
「そういうもんだよ、あたしもなんとなく違和感感じたりすることあるからさ」
「季節の変わり目だから?」
「そうそう。だからマッサージしてあげようと思ってね。
ツアーで一緒に回るわけじゃないから、今しかしてあげられないし」
「ありがとうございます」

椅子に腰掛けた高橋の足に、
リラックスアロマオイルをたっぷりとかけてゆっくりとマッサージ。
多分、影響を受けているであろうふくらはぎまでゆっくりと。
だんだん、高橋の目がとろんとしてきた。

「眠かったら寝ていいよ」
「眠くない…です」

じゃあ、なん…あ……。

前にまいちんに言われたんだ。
オイルマッサージは好きな人にやられると変な気持ちになっちゃって危険って…。
高橋、もしかしてあたしのこと……スキ?
そんなこと聞けるわけないから、ためしにさらに裏ももへとマッサージを広げてみた。
びくって高橋が反応する。
ぎゅうって椅子の縁を掴んでるし。

「あ、ごめん。感じちゃった?」
「……いぢわる」

人間、きっかけは必要です。



イタダキマース


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