SIDE A

ラジオの生放送を終えて家に帰る。
ああ、もう三時前やわ。
今日は昼間もリハやって、体はくたくたやけど、
テンションだけあがってもうて目がさえてる。
仕方ないからゆっくりシャワー浴びて、ゆっくりメイクを落とす。
そうこうしてる間に時計は4時を指す。
さすがに寝れんでもベッドに入らんと明日の仕事にさしつかえるな…。
そう思ってあたしはベッドに入った。
明日の起きる時間に時間合わせて…

っ!
びびったぁ。
突然に携帯が鳴った。
ディスプレイには「吉澤さん」



「もしもし」
『もしもし愛ちゃん?』
「はい」
『もしかしてもう寝てた?』
「いえ、起きてましたよ」
『そか、よかった…』
「どうかしたんですか?」
『寝れない…』
「へ?」
『寝れないから電話しちゃった』

あら…。
でもなんであーしなんやろ。
前に同じ理由で麻琴に電話してたよね?

「麻琴じゃないんですか?」
『なにが?』
「電話」
『さすがに4時にはかけらんないだろ』
「たしかに」
『愛ちゃんならさっきまで一緒だったから起きてるかなって思って』
「予想どおりでしたね」
『うん、五回コールして出なかったら切ろうって思ってた』
「でも大丈夫?」
『なにが?』
「明日試合でしょ?何時起きですか?」
『六時』
「えええー!!もうそんなに寝れんやないですか」
『もう寝るの諦めた』
「寝てくださいよぉ」
『無理だもん。すげえ気が立ってるし』
「あーし、子守歌歌いますから!ちょっとでもいいから寝てください」
『わかった…』

あーしは心を込めて歌った。
よしざーさんが少しでも眠れるように。
少しでも癒されるように…。
やがて受話器の向こうから寝息が聞こえてきた。

「おやすみなさい…よしざーさん…」




♪♪♪〜。

メールの着信音で目が覚めた。
あーし、いつの間にか寝てしもたんやね。
手に携帯持ったままやん。


06/02/23 06:30
From 吉澤さん
おはよう愛ちゃん(○^〜^)ノ
おかげで少し眠れたよ。手に携
帯握ったまま寝てたのには自分
でも笑ったけどね(^^;)完徹で
試合するより全然ましだし、本
当にありがとう。
今日がんばるよo(^o^)o



To吉澤さん
RE:
あたしも同じ格好で寝てました
(笑)役に立ててうれしいです



仕事場でテレビ中継で見たよしざーさんはやっぱり少し疲れてたけど、
少しでも寝た分少しはましなのかな…。


リハーサルを終えて帰るタクシーの中、電話がきた。


『愛ちゃん勝ったよ』
「おめでとうございます。いまどこですか?」
『帰りのタクシーの中』
「みんなは?」
『もうばらけた。明日もリハだし明後日からツアーだしね』
「大丈夫ですか?」
『ん?』
「リハの合間にテレビ見てたんですよ。しんどそうやったから」
『んー、疲れたかな…』

いつもの元気マンの声じゃなくて力がない。

「よしざーさーん…」
『そんな声出さないでよ…』


SIDE H

『よしざーさーん』

って言った後に愛ちゃん絶句してる。

「そんな声出さないでよ…」
『ごめんなさい』
「じゃあまた明日」
『はい。ありがとうございます』
「ん?ありがとう?」
『あーしになんか電話くれて』
「あぁ、声聞きたくなったんだよ」
『あーしの?』
「昨日のお礼も言いたかったしさ」
『何かテレますね』
「そだね…」
『それじゃあおやすみなさい』
「うん。また明日」


電話を切った後、疲れてるんだけどすごい暖かい気持ちになってる自分がいた。
なんとか今週のりきれそうだ。


翌金曜日はゲネプロ。
昨日しっかり寝たんだけど、胃が痛い…。
あたしは朝ご飯もそこそこに胃薬を飲んで仕事に向かった。
ツアー初日前日の独特の緊張感。
昨日の緊張感とあいまって神経だけが異様に高ぶっている。
だけどあたしが余裕のない顔もしてられなくて、
ここはテンションあげていくしかないんだよね。
一回ざっと本編通してやってみて、ダメだしがはいる。

「じゃあ1時間休憩。その間にチェック箇所確認しといて」

スタッフに言われて一旦楽屋へ。
だけど多分あたしは打ち合わ…

「よしざーさん、ちょっと教えてほしいことが」

…愛ちゃん?

「へ?あ、うん、いいよ」

愛ちゃんに手招きされて後をついていくと、
愛ちゃんは使われてない控え室に入って中から鍵をかけた。

「な、なに?」
「寝てください」
「へ?」
「いいから早く」

あたしは愛ちゃんに引っ張られてソファに収まった。
そしたら愛ちゃんあたしをぐいって引っ張って横にならせた。
必然的に膝枕。
やわらけぇ〜。
愛ちゃんが優しく髪を撫でてくれる。

「愛ちゃん…」
「なあに?」
「胃が痛い…」

甘えてみた。

「かわいそうに…」

今度は優しく胃の裏側あたりをさすってくれた。


「はぁ〜…」

大きなため息が出た。
自然と瞼が下がってきたよ…。


くしゅん


誰かのくしゃみで目が覚める。
…ん?
ここどこだ?
ゆっくりあたりを見渡すと愛ちゃんと目があった。
へ?
あ…
あたし、愛ちゃんの膝枕で寝ちゃってるじゃん。

「…あたし…寝てた?」
「気持ちよさそうに」

また、くしゅんと愛ちゃんがくしゃみをする。
うわ、やべえー。
愛ちゃん、衣装の上に羽織ってた上着、あたしにかけてる。
汗いっぱいかいてるのに冷えるじゃん。

「ごめん!」
「え?」
「風邪引いてない?寒気しない?大丈夫?」
「大丈夫ですよ?」
「あたしのせいで愛ちゃん風邪引いたらあたし泣くよ?」
「泣くんですか」
「うん、泣く」

あたし、何愛ちゃんに甘えてんだろ。
まいちんアヤカ以外でありえねえ。
でも…。

「楽になった」
「気持ちよさそうにねてましたよ」
「うん。そろそろ戻ろうか」
「はい」

立ち上がった愛ちゃんに上着を掛けるついでに肩を抱いた。

「よしざーさん」

愛ちゃんがあたしを見上げる。

「ん?」
「楽しみましょうね」
「おう」

ありがとう。



キミガイタカラ、キミガイルカラ、アタシノイマガアル

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