−前編−

現地入ってホテル入って…。
あれ?スタッフ何揉めてんだ?
なんかマネージャーがホテルの人とコーディネーターさんと揉めていた。
…揉め事嫌いだけどさ、リーダーだし…。

「どうかしたんですか?」
「手配ミスでさ、シングルが一部屋足りないんだよ」
「メンバー分足りないってこと?」
「ああ。空きがなくてツインしかないって」

なんだ、そんなことか。

「いいじゃないっすか。ホテルの人もコーディネーターさんも謝ってるし」
「でも誰かがツインだぞ?」
「あたし行きますよ。若い子達しっかり休ませてあげてくださいよ」

あたしってばかっけーじゃん?
なんて思いつつツインの鍵を受け取って一人先に部屋へ行く。
あとはよろしくやってくれ。


暫くしたら廊下が騒がしくなった。
みんな上がって来たな。
ドアを開けようと近づくと、グーを出せばよかったとか、パーでラッキーとか大騒ぎ。
部屋、じゃんけんで決めたのか。

「負け組だぁ」
なんてぼやいてる声にあたしはドアを開けた。

「あたしと相部屋は不満なんだぁ…」

ってできるだけの悲しそうな声を出して。

「え、あ…そんなことないです!」

おっきい目をさらにおっきくして焦ってるのは愛ちゃん。

「愛ちゃんがツイン?」
「はい」
「よっちゃんさんツインなら美貴が行けばよかったぁ」

もう遅いよ、ミキティ。

「じゃあ愛ちゃん、二人で楽しも?」

他のメンバーの顔をニヤリと見回してドアを閉めた。
っと、愛ちゃんが部屋に入ったとこで固まってるよ。

「…愛ちゃん?」

顔真っ赤じゃん。
もしかしてさっきのあたしの一言?

「ごめん、あたし変なこと言ったよね」
「いや…大丈夫」
「とりあえずさ、中入んない?」
「あ、ごめんなさい!」

一つ一つの反応が面白すぎだよ、愛ちゃん。



冷蔵庫からジュースを二つ出した。

「飲む?」
「うん」

やっと笑顔にもどった愛ちゃん。
暫く他愛もない話をした。

「とにかくさ、この三日間よろしくってことで」
「こちらこそ」
「んじゃ寝よっか」

愛ちゃんがすごい遠慮してるから、あたしが先に壁側のベッドに入った。
疲れてたせいであたしはすぐに眠りに落ちたんだけど、なんかすっごい夢見が悪かった気がする。


翌朝、いっぱい寝汗かいて目が覚めた。
目を開けると目の前に愛ちゃんの顔が…。
あたし…何したんだ?
状況が飲み込めなくて、辺りを見回す。
…壁側のベッドに寝てたはずだよね、あたし。
なんで窓側のベッドにいるんだ?
しかも愛ちゃんにぴったりくっついて…。

「あの…」
「あ…おはようございます、吉澤さん」
「あたし…なんで?」
「昨日、すっごいうなされてました」
「うん…」
「『吉澤さん』って声かけたらむくって起きて私のベッドに…。
起こそうと思ったんだけど私の服ぎゅーってつかんでるし…」
「ごめん」
「それはいいんですけど…」

あ…。うつむく愛ちゃんに、あたしはまだ自分が愛ちゃんのベッドにいるのを思い出した。

「重ね重ねごめん!」

もう…まともに愛ちゃんの顔見れねえ…。
一つベッドの中でさ、二人で顔真っ赤にして…。
慌ててベッドから出る。

「っいってえ!」

慌てすぎて背中から落ちた。

「大丈夫?頭打たなかった?」

ベッドの上から伸ばしてくれた愛ちゃんの手に捕まって起き上がる。
背中とか後頭部撫でてくれるんだけど…恥ずかしくて愛ちゃんを見れない自分が情けない。
結局あたしはその日一日まともに愛ちゃんの顔が見れなかったんだ。



つづく
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