2.素直
熱が出た。
しかも39度オーバーとか。
めちゃくちゃきつくてベッドの上で唸ってた。
まいちんが来てくれたのは覚えてる。
そっから眠ってしまったみたいで、記憶がない。
今、目を開けたその先に…
「…高橋?」
なぜかあたしの家のあたしの部屋のベッドの横にいたのは高橋だった。
「あ、目、覚めました?」
「うん…」
「なんで?」
「え?」
「寝る前はまいちんがいたと思ったんだけど…」
「まいちゃんから電話もらいました」
「なんて?」
「よしざーさんが愛ちゃんのことうわごとで呼んでるから来てあげてくれない?って」
「へ?」
「言ってました…」
恥ずかしそうに頬染めて。
「まじ?」
「高橋…高橋…。ってあーしの名前呼んでました」
「うそーん」
「ここにいますよって手、握ったら、それから呼ばなくなりました」
うわ、はじぃ。
てか、ずっと手、つないだままじゃん、ヲレ。
「ごめんね、ありがとう」
「夢見てたんですか?」
「わかんない。会いたかったんかな」
起き上がろうとするあたしを高橋が制した。
「ダメですよ、まだ熱あるんですから」
「あ、うん…」
「あら、素直やわ」
だって、ねえ。
なんだか、今日は高橋がお姉さんに見える。
「もう少しいてくれる?」
「いいですよ」
今日だけは、ちょっと甘えてもいいよね。
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