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もし、あの時あたしが一緒に出かけいたら、運命は変わっていたかもしれないのに…
if〜dark side〜
今あたしはテレビの仕事でニューヨークに来ている。
同行者は愛ちゃんとマネージャー。滞在期間3日という強行軍だ。
滞在二日目の夜、時間があいて、愛ちゃんはミュージカルを観に行くという。
あたしも誘われたんだけど、時差ボケがひどかったんで、部屋で休んでた。
いつの間にか寝てしまってたようでマネージャーからの電話で目が覚めた。
『吉澤、高橋部屋に行ってる?』
「いえ、来てませんよ?てか一緒だったんじゃないの?」
『はぐれちゃったんだよ』
「えー!大丈夫なんですか?こんなニューヨークの町中で」
『わからない。とにかく探してくるよ』
心がざわざわした。
あたしが一緒に行ってればはぐれなかったのにって思ったりした。
だってそうだろ?はぐれそうになったら手をつなけばいいんじゃん。
あたしはいてもたってもいられなくてロビーに降りた。
スタッフは局スタッフ、コーディネーターも含め、愛ちゃんを捜しに出かけた。
頼む、帰ってきてくれ。
神様に祈るしかない。
二時間後、人の良さそうなご婦人につれられて愛ちゃんが帰ってきた。
玄関にあたしの姿を見つけて愛ちゃんが胸に飛び込んできた。
ぎゅーってしがみついてくる。
ご婦人があたしに何か言ってくるんだけどわからない。
ただ一つ、聞き取れた単語「take care」で愛ちゃんの身に何かが起こったことを悟る。
あたしはご婦人にお礼を言うと、愛ちゃんを自分の部屋に連れて帰った。
とりあえず見つかったことをマネージャーに連絡して愛ちゃんと向き合った。