17


「ただいま」
「あら、ひとみ。おかえり」


お母さんは事情を知ってくれてあたしのわがままを許してくれている。


「あのさ、お母さん。愛ちゃん連れてきた。ちょっとあとで話あるから、お父さんかえってきたら呼んで?」


そう言ってあたしは愛ちゃんをつれて自分の部屋へ。


「疲れてない?」
「うん、大丈夫」
「そこに座んな?」


ベッドに腰掛けさせて、あたしも隣に座る。
髪を撫でてやると気持ちよさそうに目を細めるのが、犬みたいだなって思った。


「愛ちゃんの体調おちついたらさ、福井に行こうね」
「うん」


ほどなくしてお父さんが帰ってきた。
あたしは居間で両親と対峙する。


「あのさ、お父さんお母さん」
「ん?なんだ?」
「あたしさ、正式に家を出ようと思うんだ。今も殆ど帰ってないけど」
「出てどうするんだ?」
「愛ちゃんと住むよ」
「今とかわらないじゃないか」
「違うよ、お父さん。愛ちゃんと一生一緒にいるんだ」
「え?」
「愛ちゃんとあたしと、お腹の子と三人で、生きていくんだよ。高橋ひとみとして」
「え?え?よしざーさん?」


突然のあたしの言葉に愛ちゃんの方が驚いている。


「うちは弟いるし、愛ちゃんとこは姉妹だから。あたしが高橋姓名乗るのが自然でしょ」


さすがの両親も黙り込んじゃったけど、
「おまえは一回言い出したら聞かないから」って許してもらえた。
愛ちゃんの事情も全て話したから、逆に泣かさないように、幸せにしてあげなさい。とまで言われたよ。


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