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「何があったの?」
「……」
「とりあえずコーヒー飲みな?」
あたしは愛ちゃんにコーヒーを渡した。
だけど…紙コップを握る愛ちゃんの手は震えていたんだ。
あたしは愛ちゃんの隣に座りなおした。
そして肩を抱く。
「言ってみ?何があった?」
あたしがそう言うと、愛ちゃんはわっと泣き出してしまった。
「愛ちゃん?いったいどうしたのさ」
「これ…」
泣きながら愛ちゃんが差し出した袋。
受け取って中を見ると、ボロボロになった服が。
…ん?
これって愛ちゃんが昼間に着てた?
「…何があった?」
「歩いてて…」
「うん…」
「はぐれて…」
「うん」
「外人の三人組に腕つかまれて…」
まじかよ…。
「変なところ連れ込まれて…」
そこまで言うと愛ちゃんは泣き崩れた。
「でね?…あーし…あーしね?」
「もういいよ、言わなくて…」
愛ちゃんの口からこれ以上聞くのは残酷だと思った。
「よしざーさん…」
「ん?」
「お願いが…あります」
「なあに?」
「…抱いてください」
「……え?」
「あーし…汚れてもうた…だから…消して?」
「愛ちゃん…」
「お願いやから…あーしの身体…清めて?」
溢れる涙を拭おうとせずにあたしを見つめる愛ちゃん。
…引きさがれないよな?これ…。
「愛ちゃん」
「はい…」
「後戻りできなくなるよ?」
「いいよ…このままだったらあーし…生きていけない…」
「わかった…」