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週末、愛ちゃんのご両親が上京してきた。
今、リビングで四人で向き合う。
隣にいる愛ちゃんが落ち着かないのが伝わってくる。
あたしはそっと愛ちゃんの手を握った。
「とりあえず、今からあたしがお話する事、何も言わずに最後まで聞いてもらえますか」
あたしはそう前置きしてアメリカでの出来事から、全て話した。
あの忌まわしい事件も、愛ちゃんの妊娠も、あたしとのことも全て…。
「ということなんです」
「そうですか…」
「事務所の話ってのも休養と復帰の扱いのことだと思います」
四人の間に沈黙が流れる。
「あたしが愛ちゃんとこれから先一緒に生きていくこと、認めてもらえますか?」
「認めるも何も…さっき吉澤さんが話してるときに吉澤さんを見る愛の信用しきった顔見たら
何も言えませんよ」
「じゃあいいんですか?」
「こちらこそいいんですか?って感じですよ。吉澤さんの将来を愛の為になげうつんですから」
「あたしの未来予想図は愛ちゃんと生まれてくる子供と、三人でいることですよ」
「ありがとうございます」
愛ちゃんのご両親にお礼言われちゃったよ。
「それと一つお願いが…」
「はい」
「あたしを高橋家の養子にしてください」
「え?」
ご両親の驚きも当然だけど…。
「いろいろ考えて…あたしたちにとっての最善はあたしが『高橋ひとみ』になることです」
言い切ったあたしに愛ちゃんのママは涙してた。