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電話を切るとメンバーがまわりに集まっていた。
「愛ちゃん、産まれるの?」
「わからんけど…陣痛はじまったみたい」
「よっちゃん行ってあげなきゃ」
「うん、行ってくる。産まれたら連絡するから」
「わかった。待ってる」
玄関まで走りながらお母さんに電話して。
あたしが病院に着いたとき、愛ちゃんはまさに分娩室に入るところだった。
「愛ちゃん!」
「よしざーさん…行ってくるね」
「うん…」
愛ちゃんを見送ってからお母さんに話を聞く。
「もう産まれるの?」
「初産だからどうかしら。私が迎えに行った時はもう5分おきくらいの陣痛になってたわよ」
「一人で我慢してたのか…」
「そうみたいね。こっち着いたら子宮口開いてたみたいだし」
「わかった。ありがとうね。生まれたら連絡するから」
お母さんが帰ってからは、一人で分娩室の前でやきもきしながら待つ。
15分くらいたっただろうか。
「吉澤さん」
呼ばれて顔を上げると看護士さんが出てきていた。
「はい」
「高橋さんが中に入ってきてくださいっておっしやってます」
「え?」
「もうすぐ産まれますよ」
「でも、いいんですか?あたし、旦那でもないのに」
「大丈夫ですよ。高橋さんが望んでらっしゃるので、是非入ってあげてください」
「わかりました」