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用意された滅菌服を着込み、中に入る。
愛ちゃんは分娩台の上で苦しみの最中だ。
あたしはそばに行きそんな愛ちゃんの手を握る。
何も出来ない自分がもどかしくて涙が出る。
愛ちゃんは自分の方が大変なのにそんなあたしの涙を拭ってくれる。

あたしが握ってる愛ちゃんの手にぎゅって力が入る。
陣痛の波が来たみたい。


「もう産まれるよ、頑張って」


そして、助産士さんが愛ちゃんのおなかを押したと思うとすぐに…。


「元気な男の子ですよ。今、産湯につからせて、すぐつれてくるからね」



「愛ちゃん」


汗ばんだ髪を指ですいてやる。


「お疲れ様。おめでとう」
「ありがとう」


いつもの笑顔だ。



「体重2856グラム、すごく元気ですよ」



助産士さんが赤ちゃんを連れてきてくれた。


「抱かれますか?」
「え?あたし?」
「どうぞ」


促されるまま、赤ん坊を抱く。
てか…この子…


「よしざーさんにそっくりや…」


顔を見た愛ちゃんがつぶやく。
そうなんだよね。髪の色はブラウンで、今あたしのしてる色だし、
目もブラウンで人より少し茶色いあたしと同じ色だ。
白人系で色も白い。
そして何よりも目がくりくりとでかかった。


「そうだね。なんでだろ」


頭を掻くあたしに


「よしざーさんにそっくりでよかった…。相手のこと、必要以上に思い出さずにすむもんね」


心底安心したように愛ちゃんはつぶやいた。


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