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はじめは義務感で抱いていたのに、いつしか愛ちゃんのことが愛しくてたまんなくなっていた。
まるでガラス細工を扱うかのように抱いてるうち、
やっとのことで少しずつ愛ちゃんが反応を示すようになってきた。
もうそのころにはあたしも愛ちゃんも汗だくだったけど、感度が戻ってきたことの方がうれしくて、あたしは懸命に攻め続けた。
「よしざーさん…」
「どした?イきそう?」
「うん…気持ち…いい…」
「じゃあイこう?」
あたしは指を早めた。
しばらくして、あたしの指をぎゅっと締め付け、愛ちゃんは絶頂を迎えた。
あたしは愛ちゃんの上で脱力した。
すげえ疲れたかも…。
心臓がバクバクいってるよ。
「ありがとう…」
愛ちゃんがあたしの頭を撫でてくれる。
「シャワー浴びよう」
あたしは愛ちゃんの手を引っ張ってバスルームに向かう。
「一緒に入るん?」
「うん」
敢えて同意は求めない。
何も言わないのが肯定と受け取って。
シャワーで愛ちゃんの汗を流してやる。
きれいな身体してる。
これが汚されたかと思うと無性に腹が立つ。
「よしざーさん、お願いがあるんやけど」
「何?」
「あーしがレイプされたこと…内緒にして?」
「わかった。あたしの中にしまっとく」
滞在三日目。
愛ちゃんは何事もなかったかのように仕事をこなす。
ただ街中でガタイのいい男をみると表情が強ばった。
だから、あたしはカメラが回ってるとき以外、愛ちゃんの手を握ってた。
あたしがついてるから、大丈夫だからって。
帰りの飛行機の中でも愛ちゃんはあたしの手をずっと握っていた。
あたしにとっては、それくらいのことは簡単だったし、いくらでもしてあげようと思った。
成田に着いて、事務所に帰る車の中、愛ちゃんがあたしの袖を引っ張った。
「ん?」
愛ちゃんにだけ聞こえる声で返事をする。
「帰りたくない…」
「え?」
「帰ったら一人やざ…」
「ああ…」
「どうしよう…」
「一人になるの怖い?」
愛ちゃんはこくりと頷く。
答えは一つしかない。
「あたしが一緒に帰ってあげるよ」
「え?」
「愛ちゃんが落ち着くまで泊まるよ」
「本当?」
「泊まっていいかな?」
「もちろん」
安心したような笑顔になる愛ちゃん。
あたしが守るべきものはこの笑顔なんだ。あたしはそう誓った。