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そんなある日ー。
その日は朝からDVDの収録で、ハローのみんなでゲームをしてたんだ。
英語絡みのゲームで、外人さんが登場するなり、びくっと愛ちゃんの身体が強ばるのがわかった。
あたしはみんなに気づかれないように愛ちゃんの隣に行く。
そんなことは関係なく、収録はどんどん進んでいき、英語ゲームも佳境に入ってきた。
外国人タレントさんが愛ちゃんに絡もうと手を上げた瞬間…。
「ごめんなさい、ごめんなさい!お願い、許してください!」
愛ちゃんがパニック状態に陥った。
「愛ちゃん!」
あたしは慌てて駆け寄って、愛ちゃんを抱きしめた。
「ちょっと時間ください」
あたしはそうスタッフに告げると、愛ちゃんを控え室に連れていった。
他のメンバーは何がおこったかわからないというような顔をしている。
あたしは控え室に戻ると中から鍵をかけた。
「愛ちゃん、大丈夫?」
あたしはぎゅっと抱きしめて、身体を撫でてやった。
「ごめんなさい、あーし…」
「思い出しちゃった?」
「はい…」
「大丈夫だよ。大丈夫だから」
「うん…」
「あたしがついてるから。誰にも愛ちゃんに触れさせないから…」
「うん…」
ずっとずーっと抱きしめていた。
愛ちゃんのあたしを抱く手がぎゅっと力が入ってるのが痛々しい。
そうしているうちにノックの音が。
「吉澤さん?愛ちゃん?」
ガキさんだ。
「愛ちゃん、ガキさん入れるよ?」
あたしは鍵をあけた。
「吉澤さん、愛ちゃんは…」
「うん…とりあえず入って」
あたしはガキさんを中に入れた。
愛ちゃんはあたしの後ろに隠れた。
「愛ちゃん…」
「ねえ、愛ちゃん。メンバーには話さなきゃいけないんじゃないかな」
「うん…」
「本当のこと話しても、それでどうこう言うようなメンバーじゃないのは愛ちゃんが一番わかってるよね」
「うん…いいよ。話そう」
「ガキさん、みんな呼んできてくれるかな」