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「愛ちゃん手伝うよ…って…愛ちゃん?」
キッチンでは愛ちゃんが作業途中で手を止めて目を閉じていた。
「愛ちゃん?どうかした?」
返事がない。
「具合悪い?」
次の瞬間、愛ちゃんはトイレに走った。
ドアの向こうから愛ちゃんの苦しそうな声が聞こえる。
「愛ちゃん…」
暫くたって出てきた愛ちゃん。
「よしざーさん…」
「ん?」
「明日病院行きます」
「そんなにしんどい?」
「今日ね、食べ物の匂い嗅ぐ度に吐いて…。それにね、遅れてる…」
「遅れてる?」
「どうしよう…」
愛ちゃんが泣き出した。
あたし、まじ話が見えない。
「できちゃったかも…」
「できたって…まさか…」
遅れてる。
気持ち悪い。
できちゃった。
に共通するのってあれしかないよね?
レイプの時の?
うわ…きついなあ、それ…。
泣きじゃくる愛ちゃんを抱きしめてなだめて。
「とにかく明日病院行こう?まだ確定したわけじゃないんだからさ」
「うん…」