打ち合わせを終えて楽屋に戻る。
何やら他のメンバーが大騒ぎしている。
何事かと思ったら肩を落とした愛ちゃんが楽屋入口の方へトボトボ。


「どっか行くの?」
「ジュース買いに…」


にしては暗いぞ?


「あ、あーしジャンケンに負けたんでみんなの分の」


はてなマークが飛んでるあたしを見て愛ちゃんが言う。
あたしは楽屋のドアを開けてやる。


「よしざーさんのも買ってきますよ、何がいいです?」
「スポドリ」
「わかりました」


楽屋を出る愛ちゃん。
あたしも一緒に楽屋を出る。


「また打ち合わせ?」
「ううん、ジュース買いに」
「へ?」
「愛ちゃん一人だと持つの大変じゃん」


途端にパァッと笑顔になる愛ちゃん。
かわいいなぁ。
せっかく二人だけだし、ここはちょっと年少メンのマネでもするか。
あたしは愛ちゃんの手を握った。
ってビックリしてるし…。


「ひーちゃんショック…」
「へ?」
「そんなに驚かなくても…」
「え?あ、いや…そうやなくて…」
「嘘だよ。たまにはいいじゃん?スキンシップ」
「そうですね」


そう言うと愛ちゃんは恋人繋ぎに変えた。
今度はあたしがテレたりして。


「よしざーさん、耳まで真っ赤や」


愛ちゃんがくすっと笑う。


「うるせーやい」


ふざけあってる間に自販機に着いちゃったよ。
こんなんだったらもっと遠い場所の自販機行けばよかったと思った。


「また一緒に行こうね」
「自販機ですか?」
「今度はコンビニで」
「せめてカフェにしましょうよ」


五年たってこれかよ、とか言わないでね。
これがあたしたちなんだから

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