1.
突然貰ったすごい贈り物。
誰から貰ったのかはその人の名誉のため言わないでおこう。
貰ったものはいわゆる女の子同士の恋愛で二人が結合するために使うもので、
ぶっちゃけそういう趣味のないあたしにとっては無用の長物なんだけどな。
なんでくれたのか理解に苦しみつつそれを眺める。
………。
履いてみよう…。
部屋の鍵をきっちりしめてあたしは試着する。
…なんか…変な感じ…。
不思議なものでそれをつけた瞬間、あたしの心に征服感がわきあがる。
誰を?
守秘が保たれそうなのは身内?
まあ、そのうち見つかるだろう。あたしの運命の人が。
あたしはその後、暫くそれの存在を忘れていたんだ。
「よしざーさん」
「ん?」
「今日時間ありますか」
「あるけど…どうしたの?」
「ちょっと相談したいことがあって…」
「じゃあ飲みにでも行く?」
「あ、はい!」
愛ちゃんと飲みに行くのは初めてだから、あたし的にもすごい楽しみ。
その日あたしが愛ちゃんを連れて行ったのは行きつけのショットバー。
「何飲む?」
「何でも」
「愛ちゃん強いんだっけ?」
「限界まで飲んだことないからわからん。よしざーさんと同じもんでいいよ」
「あたし…強いよ?」
「いいですよ、あーし、今日は酔いたいし」
にしてもあたしがいつも飲むお酒はやばいだろうな…。
「すいません、あたしはスピリタスをロックで。この子にはXYZを」
「そのお酒強いん?」
「カクテルの中ではね。XYZってアルファベットの最後じゃん?だからこれ以上はないって意味があるんだ」
その後の愛ちゃんはかなりのハイペースで飲んでいた。
自分のスキルに対する不満や、将来への不安を口にしつつ。
最後にはあたしが飲んでたのまで飲んじゃって、今はかなりの酩酊状態。
「ねえ愛ちゃん、帰ろう?」
「やだ」
「やだって…明日も仕事だよ?」
「帰らないもん」
「ダメだってば。ほら、行くよ?」
半ば強制的に立ち上がらせる。
「ほらぁ、まっすぐ歩けてないじゃん」
こんな飲み方するなんて、ストレスたまってんのかな…。
「愛ちゃん、送っていくから帰ろ?」
「帰らないもん」
あーもぉ…。
「とにかくタクシー乗ろうよ」
「乗らない」
「愛ちゃん…」
「乗ったら吐く」
「まじかよ…」
仕方ないから歩く。
愛ちゃんちまでは歩けないからあたしの家まで。
自分ちの近くの店にしといてよかった…。