11.

約束通り愛ちゃんは泣かなかった。
あたしより半歩後ろにいた愛ちゃんの様子はライブ中は伺い知ることはできなかったけど、
終演後にスタッフルームにビデオをチェックしにいってその様子を知ることができた。
俯いて…
唇噛み締め…
涙がこぼれないように上を向いて…。
必死であたしとの約束を守ろうとする姿はけなげだった。
隣で一緒にビデオ見てた愛ちゃんの頭を思わず撫でたよ。
ずーっと、この子のこと大事に思わなきゃなって、そう思ってた。

なのに…。




「吉澤、すぐ家に帰りなさい」


スタッフにそう告げられたあの日…。
あたしは一切の外からの連絡を遮断した。
強いリーダーも、かっこいいよっすぃーも、演じられそうになかったから。
愛ちゃんからも何度もメールが来たけど、
返事すら返す気力もなくて、ほったらかしにしちゃってた。

週末、あたしが合流したのは会場の楽屋。
みんながあたしに駆け寄る中、愛ちゃんは遠巻きにあたしを見てた。
泣きながら…あたしを見てた。
だけどあたしに余裕がなくてそのままステージが始まる。
寝てない食べてないじゃ完璧なパフォーマンスにはほど遠くて…。
愛ちゃんにまで伝染っちゃってガタガタで…
こんなんじゃだめだよね…。
なんとかステージを勤め上げ、あたしは東京に戻る。
慌ただしくて愛ちゃんと言葉を交わす間もないままにね…。



週が明けて火曜日。
家にいたら梨華ちゃんからメールが来た。

『今から行っていい?』
『どこへ?』
『よっすぃーの家』
『なんで?』
『顔見たいから』
『おもてなしできないよ?』
『かまわない。5分でいいから会いたい』
『わかった。いいよ』

メールを返す。



「梨華ちゃん来るって」


母親に言う。


「あら、あなた心配かけたんじゃないの?」
「大阪?かもしれないね…」


とりあえずあたしの顔見て安心するならそれでいいや…。
しばらくして梨華ちゃんが来た。
愛ちゃんと一緒に…。


「愛ちゃん…」
「愛ちゃんの落ち込みよう見たらほっとけなくてね。
お節介かとも思ったんだけど連れてきた」


梨華ちゃんらしいや。
とりあえず部屋に入ってもらう。


「愛ちゃんさ、痩せたと思わない?」
「確かに…」


それでなくともシャープな顎のラインがさらに細くなっている。



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