13.
愛ちゃんを抱きしめる手にも力が入ってしまう。
「よしざーさん?」
「……」
答えられなかった。
そしたら愛ちゃんの手があたしの頭を優しく抱いた。
「泣いていいですよ」
「愛ちゃん…」
涙は枯れたはずなのにまた泣いた。
愛ちゃんを抱きしめたまま泣いた。
あたしの涙が枯れるまで愛ちゃんはあたしの頭やら背中をなで続けてくれた。
どれくらいそうしてたんだろう。
「ごめん、もう大丈夫」
顔を上げたあたしの涙の跡に、愛ちゃんがそっとキスをくれた。
「しょっぱい」
「当たり前じゃん」
二人で顔を見合わせて微笑み合う。
何気ない行為がうれしい。
居間でテレビを見てる間もあたしは愛ちゃんの手を握っていた。
今は人肌が恋しいんだ。
愛ちゃんも何も言わずあたしに寄り添ってくれている。
度々愛ちゃんを見るあたしに、目が合う度に微笑みを返してくれる。
何回目かになり、あまりにも度重なるから、愛ちゃんが首を傾げる。
「不安なんだ」
「不安?」
「どっか行っちゃわないでよ?」
「行かないってば。ずっとそばにいますよ」
「うん…」
きっと情けない顔してるんだろうな。
愛ちゃんを置いてどっかいっちゃうのは自分なくせにね。
「寝ようか」
「はい」
二人でベッドに入る。
何も言わないでも愛ちゃんがぴとってくっついてきてくれる。
あたしはそんな愛ちゃんを腕の中に閉じこめる。
暫くあたしの腕の感触を楽しんでいた愛ちゃんがそっとあたしの唇に触れた。
「よしざーさん」
「ん?」
「していい?」
「へ?」
「あーしから、していい?」
「…愛ちゃんから?」
「…キスも…その先も」
顔を真っ赤にしながらそういう愛ちゃん。
「…いいよ」