5.
「風呂入ってくんね」
「うん」
風呂から上がったら冷えたグラスとビールが用意してあった。
肴も作ってくれようとしたけど、いいよって制した。
だって熱でだるそうだったから。
あたしは缶ビール一本をあけると、寝室へ行こうと促した。
「まだ寝たくない…」
「でも身体横にしないと熱さがらないよ?
そしたらあしたの休み何にもできないよ?」
「それはいやや」
「じゃあ寝ないと」
「うん…。よしざーさんも…寝よ?」
「ままごとしてんのに『よしざーさん』はねーべ?」
「あ……じ、じゃあ…ひ、ひーちゃん…寝よ?」
ぐはっ…たまんねえ。
「おぅ」
二人で寝室へ。
寝室に入った愛ちゃんはテレビをつける。
「宝塚見んの?」
「ううん」
愛ちゃんがつけたのは音楽チャンネル。
どうやらBGMがわりらしい。
「音あった方が寝れるから」
「いらないよ、そんなの」
あたしはリモコンでテレビを消した。
「え?…」
あたしは愛ちゃんの手を引っ張ると後ろから抱きかかえるようにベッドに入った。
そして愛ちゃんを自分の胸にもたれさせるとおもむろに歌い始めたんだ。
♪どんな風に呼べばいいのかわかんないから近寄って…
最初は愛ちゃんは驚いたようにあたしを振り返ったけど、
フルコーラス歌い終わる前に寝てしまった。
起こすとかわいそうだし…あたしもそのまま寝ることにした。
翌朝、愛ちゃんより先に目が覚めたあたしはずっと愛ちゃんの髪を撫でてた。
不思議なもので1日だっこして寝ただけなのに、愛ちゃんのことが愛しくてたまら
それはあたしが愛ちゃんに隠し事をしているせいかもしれないけど…。
しばらくして愛ちゃんが目を覚ました。
「あ…」
自分の置かれている体勢に瞬時に耳まで赤くなる。
「おはよう」
耳元で囁いてみる。
「ぁん…」
なんちゅう声出すんだ、この子は。
変な気分になっちゃうじゃん。
あたしは無意識にパジャマの胸元に手を入れ…あれ?こばまないのか?