14 約束

仕事を終えて控え室に戻るとマネージャーがせわしなく事務所に連絡をとっていた。

「どうかしたの?」
「あぁ、高橋が怪我したんだよ」
「またっすか」

前のことがあったから。

「また足?」
「いや、頭」
「頭!?」

スタジオ収録中、上から照明が落ちてきたんだときかされた。
そして今、高橋の意識がないってことも。

走ったさ。
心臓が痛くなるくらい。
早く、早く高橋の元へと行きたくて、渋滞に差し掛かったタクシーを降りてただひたすらに走った。

病院に着くと、高橋の家族とスタッフがICUの前に集まっていた。

「高橋は?」

マネージャーがICUの中を指差す。

「どうなんですか?容態は」

息を整えながら質問をぶつけた。

「レントゲンとかCTには出血とか見当たらないらしい。極 酷い脳震盪らしいんだが…」
「意識戻るんでしょ?」
「多分…」
歯切れの悪い言葉にいらいらしてくる。

「会いたい。会えますか?」

ICUの中だから許可がないとは入れない。
高橋のご両親は「吉澤さんなら、愛も喜びます」といって、あたしの入室を快く許してくれた。

中には高橋のお母さんと入った。
たくさんの機械につながれた高橋。機械音が耳につく。

「なあ、高橋。目、覚ましてよ…」

話しかけてみる。だけど反応がない。
「もういやだよ…これ以上…これ以上大切なもの失いたくないよ…」

涙が溢れてきた。
あたしは高橋の手をそっと握った。

「頼むよ…目、覚まして?
そうだ、高橋。約束しよう? お前が目、覚ましたら二人で福井に遊びに行こう。
いろいろ案内してよ。美味しいもんとか、きれいな景色とか、いっぱいいっぱい教えて?」

涙が溢れて止まらない。

「ほら、指切りしよ? スケジュールあわせてさ、絶対福井に行こう。約束だよ?」

あまりにも号泣するあたしに、高橋のママがあたしの肩を抱いてくれる。

「お母さん…」
「愛はきっと気がつきますよ」
「はい…」
「大好きな吉澤さんが素敵な約束してくださったんですから。必ず戻ってきます」

今一度、高橋の顔を覗き込む。

「絶対戻って来い。あたしはここで待ってるから」


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