15 不安な気持ちをはんぶんこ

今日は娘。コン初日。
梨華ちゃんにメールした。

『今日見に行こうかな〜』
『おいで〜』
『うん。梨華ちゃんに会いに』
『愛ちゃんでしょ?心配なくせに』
『あぅ』


なんとか昼公演が始まる前に間に合った。
楽屋をノック。

「吉澤です。入ります」

吉澤ですって言った途端にドアの向こうで歓声が上がる。
かわいいねえ。
中に入ると少し緊張した表情のメンバーがわさわさと寄ってきた。
一人一人に大丈夫だよ、がんばれと声をかけた。

「あれ?高橋は?」

一番心配なヤツがいない。

「ケータリングだと思います」

さゆが教えてくれた。
あたしは自分がリーダーだった頃を思い返した。


ほら、やっぱり。
高橋はケータリングで栄養ドリンクに手を伸ばそうとしていた。

「高橋」
「あ…よしざーさん」

うわ、顔色よくねー。

「食えないの?」
「え?」
「だって、栄養ドリンク」
「あ…はい…。胃が痛くて」

全くもってあたしの通った道をなぞってるよ、こいつ。
あたしは自分の手を高橋の鳩尾辺りに宛がった。
途端に、じわっと高橋の目が潤む。

「ちょーっと待った。泣くのは終わった後でな?」
「うん…」
「緊張してるのか」
「うん…」
「不安か?」
「すっごい不安です…」
「じゃあ不安な気持ちはんぶんこしよう?」
「え?」

あたしは高橋を抱きしめる。

「不安な気持ち、ここに置いていけ?」
「うん…」
「袖で見てるから。なるべく近くで見てるから」
「ありがとう…」

客席で見るのはまた後日でいいや。
今日は高橋と、不安な気持ちをはんぶんこ。


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