翌朝目を覚ますと、ベッドの中に愛ちゃんがいなかった。

「…愛ちゃん?愛ちゃんどこ?」

途端にすごく心細くなる。
ガバって飛び起きたらびっくりしたように愛ちゃんがバルコニーから戻ってきた。

「よしざーさん? どうしたんですか?」
「…愛ちゃん…具合悪くてどっか行っちゃったのかと思った…」
「あら」
「どう?体調」

そういいながら愛ちゃんの顔を見る。
元々白いから、今日みたいに血色が良くない日は真っ白だ。

「え?…まあ…ぼちぼちです」

歯切れが悪い物言いに一気に不安になる。

「顔色良くない」
「しょうがないですよ。すでに緊張してるし」
「…だから…目覚めちゃった?」
「うん…」
「ごめん、気がついてあげられなくて…」
「それがいけないんやよ」
「え?」
「よしざーさんは何も悪くないんやし、自分を責めんとって」

あたしはベッドから降りて愛ちゃんに近づいた。
愛ちゃんは一秒たりとも目を離さずにあたしを見ている。

「愛ちゃん…」

あたしは愛ちゃんを抱きしめた。
ぎゅうって痛いくらいに抱きしめた。

「愛ちゃん…痩せたね」
「よしざーさんこそ」

愛ちゃんもあたしを抱きしめる。
暫くの間、お互いにパワーを補充するようにあたし達は抱き合っていた。


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