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そうこうしているうちにあれよあれよというまにメンバーが集まってきた。
そして思い思いの時間をすごす。
衣装に着替える開演30分前までがくつろぎの時間だ。
あたしはふと愛ちゃんを見た。
…愛ちゃん?
愛ちゃんは目を閉じて下をむいている。
寝てる?
いや、眉間に皺が寄っている。
胃が痛いのか?
視線を下に落とすと、愛ちゃんは鳩尾あたりに手を宛がっていた。
「…愛ちゃん?」
「…はい」
あたしが声をかけると愛ちゃんは顔を上げた。
「こっちおいで」
あたしは手招きをして自分の前にスペースを作った。
「はい」
愛ちゃんはすわったままあたしに近づいてくる。
「ここ、おいで?」
足を開いてぽんぽんっと畳を叩く。
「いいんですか?」
みんなの前でいいんですか?なんだろう。
「いいんだよ」
だって昨日約束したじゃん。
「じゃあお言葉に甘えて…」
愛ちゃんはあたしの足の間に座った。
あたしはそんな愛ちゃんの腰に手を回して自分にもたれさせ、鳩尾の辺りを撫でてあげた。
「気持ちいい…よしざーさんの手、暖かいです」
「そう? よかった」
この時ばかりは無駄にでかい手に感謝した。
だって片手で十分愛ちゃんの鳩尾をカバーできるよ。
突っ込みどころ満載な体勢のあたし達だけど、今日は誰も突っ込まない。
みんな愛ちゃんがどんだけ頑張ってきたか知ってるから。
あたしは愛ちゃんの肩に顎を乗っけた。
「今日は大臣がサファイア射止めちゃおうかな」
「射止めるんですか?」
「へへへ、無理だよね」
「ですね」
「じゃあ終わった後のサファイアは大臣が独占で」
「はい」