あたしは愛ちゃんの身体を支えた。
消耗しきっている愛ちゃんはよろよろと歩く。
そんな愛ちゃんをみていたら今までこらえてた涙がぶわってあふれてきた。

「…よしざーさん…」
「ごめん…泣くつもりないのに…ごめんね」
「一緒に…帰ろ?」
「うん…一緒に帰ろ」

着替えるにも手助けがいるほど憔悴しきっている愛ちゃんに
あたしの心はずきずき痛んだ。
スタッフに早く帰らせてあげてって泣き泣き懇願するあたしってのも異様な光景だと思う。
「タクシー来たぞ」ってスタッフの声に、あたしは愛ちゃんの荷物を持った。

「行こ」

右手で二人分の荷物を持ち、左手で愛ちゃんの右手を握った。

「はい」

お疲れ様ってみんなの声に送られてタクシーに乗り込む。


「ありがとうございました」
「なにが?」
「約束守ってくれて」
「約束?」
「一緒にいようねって」
「ああ」
「すっげうれしかったです」
「あたしも落ち着けたしお互い様だよ」
「今日はゆっくり過ごしたいですね」
「そうだね」
「泊まっていきますよね?」
「いいの?」
「もちろん。ってか泊まってってほしいです」

あたしはにやけそうになる顔を必死でおさえたさ。



あたしたちはその日、手を繋いでベッドに入った。

「夢の中でも手を繋いでたらいいね」
「繋いでますよ、きっと」



FIN
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