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「吉澤さん!」
慌てて駆け寄る。
「大丈夫?気持ち悪いん?」
「いや…吐いとかないと明日つらいから…」
吉澤さんの背中を摩りながら、涙がでてきた。
暫くして顔をあげた吉澤さんが私を見た。
「なんで愛ちゃんがなくのさ」
「だって…」
「情けないリーダーに同情するわけだ」
「そんなことない」
「笑いたきゃ笑えよ」
今までに見たことないような怖い顔の吉澤さん。
「何でそんなこと言うんですか」
「…もういい。帰る」
出ていこうとする吉澤さんの服を掴む。
「こんな時間からかえっちゃ危ないですって」
「このままここにいたらあたし、愛ちゃんにひどいこと言うかもしれないし、ひどいことするかもしれない」
「いいですよ。それで吉澤さんの気がすむんやったら」
「愛ちゃん…」
「それくらいしかしてあげられんし」
私がそう言うと、吉澤さんは私を乱暴に抱きしめて、噛み付くようにキスをした。
そしてそれだけじゃ終わらなくて、私はベッドまで追い詰められて押し倒された。
シャツのボタンは引きちぎられ、
私は身体にいくつもの小さな痣をつけられた。
「ごめん…」
朝までくみしだかれて、解放された途端、謝られた。
「謝んないで?謝られたら私、みじめや」
「ごめん…」
「今日の仕事、歌収録ありましたっけ」
「いや、ないと思う」
「よかった」
「え?」
「衣裳着れないですもん」
吉澤さんがのこした跡が目立ち過ぎるから。
すっかりお酒のぬけた吉澤さんはしょげかえってる。
「はぁ…自己嫌悪…」
その日は一日中元気がなくて、
いや、傍目には元気やったんかもしれん。
でもふと一人になった時のしょげかえりぶりはすごくて、
とてもやないけど放っておけなくて、私は吉澤さんがトイレに立ったのを見計らって後を追った。
私がトイレに入ったら、吉澤さんは洗面所の壁にもたれて目をつぶっていた。
「吉澤さん?胃、痛いん?」
「あ…愛ちゃん…」
額にうっすらと脂汗が浮かんでる。
「大丈夫。いつものことだから」
「いつも…なんですか?」
「リーダーの職業病みたいなもんだから」
そう言えば飯田さんも神経性胃炎って言ってたな…。
「遊びに行きましょう!」
「いつ?」
「今日の仕事終わり」
「どこ?」
「吉澤さんの行きたいとこ」
自分から吉澤さん誘うなんてありえないって思ってたんだけど、
一人で抱え込んでる吉澤さん見たら、自然に言葉が出てた。