1.
SIDE HITOMI
娘。たちのライブを見に行った。
東京でやるライブはいつも関係者がごったがえしていて、大盛況なんだよな。
あたしも娘。をやめて一年半以上もたつと、だんだん知らない関係者も増えてきて。
まあ、一応すれ違う人と目が合えば会釈するようにはしてるけどさ。
(0°〜°)!!!
だれ?あれ。
すげーかわいい。
新しいスタッフさん…だったら紹介してくれるはずだし、
外部の人だよな…。
あんな子と六本木歩けたら最高じゃね?
是非是非お近づきになりたいぞ?
じっと見てたら視線に気付いたその子がこっちを見た。
やべ!
目があっちまった。
うお!
笑ったぞ!
にこって笑って会釈してきた!
行くべき?行くべきだよな?
って誰に聞いてるんだよ、あたし。
「こんばんわ」
「こんばんわ」
身長は亀ちゃんくらいか。
「一人っすか?」
「はい」
目が印象的な子だ。
おっきな目で見られたら意味もなくてれてしまう。
「あんまり時間もないし、ずばっと言っちゃっていい?」
「…なんでしょう?」
首をかしげてそう言う彼女に悶え死にそうになったり。
「連絡先とかって教えてもらっていい?」
「え?」
「なんか、あなたと飲みに行ってみたいなって思ったり思わなかったり」
「私、未成年ですよ?」
「え???」
まじ????
すっげー大人っぽいのに。
「あ、でももうすぐ二十歳になります」
「誕生日近いの?」
「はい」
「じゃあ、お祝いしようよ」
「…吉澤さんと?」
「うん。いい?」
「いいですよ」
「やた!」
喜んだら目の前の彼女がうけてる。
「あたしのメールアドレス送るからさ、あとでメール頂戴?」
「わかりました」
赤外線でメアドを送る。
「あ、君、名前は?」
「由衣です」
「由衣ちゃんね。じゃあ待ってるね!」
やった!
ナンパ成功じゃん。
フフ、楽しみ♪